一般社団法人フリーランス連盟

「内から湧き上がる「自分は無能だ」という無意識の呪いーフリーランスエンジニアがたどり着いた答え」受賞者様のご紹介【2026年4月度】

フリーランス連盟では、月に一度「今月の活動報告(ドキュメントや画像)」を会員様から提出いただきます。
情報を仲間と共有することで、次の仕事や学びにつながる循環をつくっております。
この記事では、2025年より開始された素敵なアウトプットを表彰する制度(3ヶ月毎)で選ばれた会員様と活動報告内容をご紹介します。
表彰された会員様には、ギフト券や仕事に役立つアイテムをプレゼントしております!

2026年4月度の受賞者は、フリーランスSEのカカオイストさんです。
内から湧き上がる「自分は無能だ」という無意識の呪いーフリーランスエンジニアがたどり着いた答えについて、わかりやすくまとめた記事をご提出いただきました。

技術や実績を積み上げてもなお消えない「自分は無能だ」という無意識の呪縛に対し、心理学的なアプローチでその正体を突き止め、克服に至るまでのプロセスを等身大の言葉で綴っていただきました。
「どれだけスキルを磨いても自信が持てない」と悩む専門職の方や、完璧主義ゆえに生きづらさを感じているフリーランスの方々にとって、現状を打破する大きなヒントとなる内容です。

2026年4月度の受賞者プロフィール

カカオイストさん

フリーランスでスマホアプリを作っています。あとたまに音楽を作っています。 よろしくお願いいたします。

フリーランスSEとして働く傍ら、「カカオで、人生を味わう」をコンセプトに活動しています。 味覚・文化・地理・心理・芸術など、多角的な視点からカカオを探究し、世界と自分を知るきっかけを届けています。

チョコレートは、ただのスイーツではなく、土地・文化・人を映し出す“味の旅”。

忙しい毎日で見落としがちな『今この瞬間』を、五感を使って丁寧に感じる体験を提供しています。

受賞した提出物

「内から湧き上がる「自分は無能だ」という無意識の呪いーフリーランスエンジニアがたどり着いた答え」

僕は現在、本業でシステムエンジニアとして働いています。

ここ最近はスクラムマスターという、ざっくり言うとマネージャーのような役割をやらせていただいています。
新人やメンバーのサポートだったり、タスクの進捗管理だったり、開発環境の整備だったり、みたいな、開発メンバーが開発に集中できる環境を作るイメージですな。
朝会や定例の場でファシリテート(進行役)を担ったりもします。

やってみると、これがけっこう大変。開発業とはまた違ったやりがいと難しさがある仕事です。


さて、皆さんは日頃仕事をしていく中で、こんな言葉が湧き上がってくることはありませんか?

こうした”内なる声”は、客観的事実とは無関係に湧き上がり、時として呪いのように僕たちの心をえぐろうとしてきます。
(自分で言うのもなんですが)責任感が強い方は、この”内なる声”が出てきやすいのではないでしょうか。
面倒見のいい管理職の方ほど、心を病んでしまうのも納得です。

実際、僕はこの声に押しつぶされそうになっていました。

納期のプレッシャー、次から次へと舞い込む問い合わせ、開発環境整備など…一度にいろんなものが押し寄せてきて、文字通りパンク寸前、メンタルを維持できなくなってしまいました。

そこで、できるだけ僕の負担を減らせるよう、問い合わせはチーム全体で受け持つように促したり、抱えていたタスクを他の人に巻き取ってもらうことにしたのです。

メンバーの皆さんの協力もあって、なんとか納期の厳しい開発期間を乗り越えることができました。
しかし、僕の頭の中ではずっとこんな声が響いていたのです。

厄介なのは、この声が無自覚のうちに押し寄せてくること。
それが会議中、作業中、休憩中、いたる所で無限再生してくるのです。

後述しますが、この”内なる声”が言ってる事は大きな筋違いです。
今回は、スクラムマスター業を経験したことで学んだ、自分で自分を押しつぶさないための僕なりの
処方箋をまとめていこうと思います。

同じような悩みを抱える方の一助になれば幸いです。

”内なる声”とは何者なのか

誰しも、必ず自分の”内なる声”を耳にします。
その声は、僕たちを苦しめることもありますが、何も必ず「悪者」というわけではありません。
例えば、車の通りが多い道を渡ろうとする時。


「この道は車が頻繁に通る。たまに信号無視する輩もいる。この道を渡るときは慎重になろう」と、
僕たちの脳はアラートを出します。

これは人類が発達する上で得た、生存戦略の一種です。
もし、この”内なる声”がなかったら、おそらく勢いよく道に飛び出して轢かれてしまうかもしれませ
ん。

厄介なのは、僕らの脳がネガティブな情報に注意が向きがちなこと。
当然、その習性も生存戦略の一種ですが、ポジティブな出来事よりも、ネガティブな出来事の方がよ
り過剰に脳が反応してしまうことがあるのです。
SNSの過激な主張に「いいね」が集中したり、「世の中は危険が増している」と感じるたりするの
は、この脳の習性が原因とも言われています。

そして、ネガティブな思考が自分自身に向いてしまうと、僕らの行動を阻害してしまったり、精神を
蝕んでしまったりすることもあるのです。

「お前は失敗ばかりしているダメなやつだ」という声が聞こえてくるのは、心理学や脳科学的にそう
した側面があるからなんですね。

では、なぜ”内なる声”が”呪い”に変わってしまうのか。
原因はいくつか考えられるんですが、僕の経験をもとに大きく3つに分類してみました。

僕は昔から、「人より秀でた能力などない」という意識が強い人間でした。(まぁ他者比較なんてし
ても無意味なんですけどね…^^;)
能力がないと認めてもらえない」という危機感が、副業などで個人で動くようになってから特に強
く持つようになっていたように思います。

昨今、目まぐるしい変化の時代に突入し、より”個”の力が重視されるようになってきました。
”圧倒的個人の時代”なんて言葉も生まれたぐらいです。

従来の終身雇用制度はなくなり、”集団に従う” よりも ”個の力を生かして同チームワークを図るか” に
焦点が当たるようになりました。
最近は副業も積極的に認める会社も増えましたし、ChatGPTをはじめとしたAI技術の加速度的発展も
相まって、今後生き残るために、より”個の力”が必要になってきています。

「個人で仕事や収益を得ようと思ったら、自分はただえさえ能力がないのだから、人一倍努力して秀
でた存在にならないといけない」ーー数年前から、ずっと考え続けていました。

ところが、です。

「一人でなんでもできること = 有能」と言う考えがかえって”呪い”となり、他人に頼ることが「能力
不足の露呈」のように感じてしまっていたのです。

完璧でなければならないと言う勝手な思い込みが、かえって強烈な重荷となっていました。

「他人に迷惑をかけてはいけない」
「人の気持ちを考えなさい」
「当事者意識を持て」

皆さんも、こんな言葉言われたことありませんか?

僕は幼少期、「真面目でいい子でいなければならない」と言う気持ちがとても強かったので、健気に
も「他人に迷惑をかけてはいけない」という言いつけを必死に守ろうとしてきました。

その結果、いつしか他人に頼ることは「弱さを見せること」「迷惑をかけてしまうこと」「申し訳な
いこと」と捉えるようになってしまっていました。

今は大分マシですが、仕事の質問や相談をするのが本当に苦手で、自分一人で抱え込んでしまうこと
もしばしば。
心理学を学ぶまで、自分の意見を必死に押さえ込もうとすらしていました。

恋愛においても、「弱っちい男はモテない」という思考から、本音を言うことに躊躇してしまう面も
多々あります。
こう見えて(?)、恋愛ほど苦手なものはありません。

これは逆説的ですが、あえて自分から「お前は無能だ」とレッテルを貼り付けることで、他者からの
批判から自分を守ろうとしている可能性あるんだな
と気がつきました。

なんたる皮肉なことか。

さらには、成功ではなく、うまくいかなかったことにばかり目がいき、「自分はやはり仕事ができな
いのである」と言う確証バイアスを強固にしてしまっていた可能性もあるんだなと気がつきました。
(…よく今までメンタルぶっ壊れなかったな^^;;)

この”内なる声”について書かれたオススメの本があるので、気になる方はチェックしてみてください。

Chatter(チャッター)
―「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法

他者の視点から気がついた、”内から湧き出る呪い”との向き合い方

そんな厄介な「自分は無能だ」と言う”呪い”。
どう向き合えばいいのでしょうか?

ここからは、現場の方のご意見などをもとに、スクラムマスターとしての心得を自戒を込めてまとめていきます。

まず大前提として、スクラムマスターのようなチームをマネジメントする仕事は、チームの障害を取
り除いてチーム全体の生産性を上げること

メンバーにタスクを振り分けることで全体的に効率よく仕事が進められているなら、それはむしろ大正解です。
逆に僕が全てのタスクを請け負ったままパンクしてしまったら、その分のタスクをメンバーが持たなければならなくなり、かえってチームの生産性が落ちます。

余談ですが、開発業しながら問い合わせやら開発環境整備やらと、タスクを並列で進めるのって、結構骨が折れるんです。

進捗の妨げになって遅延してしまう状況を何度も経験しました。そう考えると、裏方的な立ち回りを中心に捌く人って、チームにとって結構貴重だよなぁと思うわけです。

今回の件について、AIにもアドバイスを出させたところ、とても面白い表現を出したので引用します。

あなたが暇そうにコーヒーを飲んでいる間にチームがガンガン開発を進めているなら、それはあなたが最高の仕事をしている証拠なんですよ。

ので、僕はちゃんと仕事をしたのだ!無能じゃないんだぞ!と自分に言い聞かせてやりたい!
(それでも、今こうして書いてても、心の中では「本当にそうなのか」とつぶやいてきています。本当に厄介ですね。)

マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力

全て自分の責任じゃない

責任感が強い人ほど陥りがちですが、「全部自分のせいだ」と考え込んでしまうところがあります。

「自分の発言によって、質問した人が不要な作業をしてしまったらどうしよう」、とか、「最後まで新人のサポートをしないといけないんだ」、とか、まあとにかく色々考えすぎてしまうわけです。
この悩みを現場の方に相談したところ、こんなご意見をいただきました。

「全部あなたの責任ではないですよ」ーー

例えば、あなたは仕事のことで同僚から質問を受けたとしましょう。当然、あなたは相手が理解できるように説明する責任がありますよね。しかし、回答を受けて、そこから先どう行動するかは質問者次第。回答した後のことは、あなたではなく質問者の責任になるわけです。

ではもし、あなたがその質問に答えられなかったとしたら、それは「知識がないあなたが100%悪い」ことになるのでしょうか?
冷静に考えれば、そんなことはないですよね。質問してきた相手も、適切に答えられるであろう相手に質問できてなかった、とも言えるわけですから。

いわゆる、アドラー心理学でいう「課題の分離」ですな。僕はつい、全て自分の責任だと重く捉えてしまいがちなんですが、そんなわけないんですよね、世の中。
もっと身軽に捉えればいいのです。

ところで、これまた余談ですが、「全ての不利益は当人の能力不足」という言葉、なかなかな暴論ですよね^^;
(言わんとすることはわかるけど)。

リフレーミング

「メンバーの負担を増やしてしまった…」
タスクを割り振った時、つい僕はそう考えてしまいます。
これも責任感強すぎる人が陥りがちな思考の罠ではないでしょうか。

客観的には ”タスクが増えた” のは事実かもしれませんが、見方を変えたら、「メンバーに成長の機会を与えた」とも言えませんか?
メンバーに成長と貢献の機会を提供しているとも考えられるわけです。

仮に、新人がベテランメンバーに向けて質問を投げたとします。
当然、新人はベテランの知見を得て成長することができますね。ベテランも、自分の知識を提供しチームが前進することで、チームに対する貢献と承認欲求が満たされるのです。

これってめちゃくちゃいい循環ですよね!

この、モノの見方を変えてポジティブな側面を捉えようとする手法を、心理学でリフレーミングと言います。

彼らが活躍するための「パス」を出し、チームを育てていると考えたら、なんだか少し仕事が楽しくなりそうじゃないですか?

貢献尺度の変更

今まで「自分がどれだけ成果物を出せたか」にフォーカスを当ててきたんですが、これはある種、原始的な物差しです。

スクラムマスターやマネージャーは、「チーム全体のアウトプットがどれだけ増えたか」「チームがどれだけスムーズに動くようになったか」が重要になるはずです。プレイヤーであると同時に、チームの潤滑油でもあり、交通整理役でもあるわけです。

もちろん、捉え方は人それぞれかなので、僕とは全く違った解釈をされている方もいるかと思います。ですが、僕は昔から裏方的な立ち回りが得意だったので、マネジメントという難しい仕事に意味を見出してみようと思います。
(主体的に仕事の捉え方を変えることを、心理学でジョブクラフティングと言います)

休憩しようぜ!そしてぶっちゃけようぜ!

何もスクラムマスターやマネージャーに限らずですが、休憩マジで大事


ぶっ通しで仕事してたって生産性ガタ落ちするだけだし、ストレスも溜まる一方、それどころか、創造性も落ちるわミスも増えるわ、いいことなんて何一つありません。
チームのパフォーマンスを上げるためにも、自分自身がちゃんと休みを取ることが何よりも重要です。
お昼休憩が仕事扱いにならないのが冗談抜きで理解できません。

悪いことは言いません。
5分でもいいので、何もしない時間を作りましょう。

そしてもう一つ。
自分の弱みをチームに打ち明けることも大事です。

つい、「メンバーに弱みを見せてはいけない」、「弱いところを見せたら信頼されなくなる」と考えてしまいがちですが、実際は真逆です。

研究でも、弱さを打ち明けることで「この人は自分の弱さと向き合える強さを持つ人なんだな」という印象が生まれ、かえって信頼されやすくなることがわかっています。
それに、「非の打ち所がない完璧な人間」を演じてたら、ちょっと近寄りがたいじゃないですか。

自分で全部背負って余裕がなくなってしまったら、かえってそれがチームに伝染してしまいますし、余裕のない人に頼りたいと思う人もいませんよね。

マネージャーがチームを支え、チームがマネージャーを支える。
それこそが、前進できるチームのあり方なのかなと、僕は思います。

勇気はいると思いますが、だいたい受け入れてくれますよ!
(もし受け入れられない人がいるなら、チームから外しましょ(笑))

オススメ書籍

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
最後に、この話に関連したオススメの本を載せておきます。

「バイアス」や「スキーマ」によって、進化の過程で得た能力が過剰反応していたり、過去の経験から誤った思考を生んでしまっていたりすることがあります。
(※ 専門家ではないため、認識に誤りがある可能性があります。)

この辺りの話は、実生活でも非常に活かせる知識なので、気になる方はぜひ読んでみてください

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社会は、静かにあなたを「呪う」 ~思考と感情を侵食する“見えない力”の正体~ (小学館クリエイティブ)

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